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アメリカの妥協で成功した 洞爺湖サミット 
2008-07-13-Sun  CATEGORY: 政治
熱しやすく冷めやすい・・・あれほど報道したサミットだがもう遠い過去のことのようだ。
NEWSとはNEW=新しいことを追いかけるのだから当然のことかもしれない。
今回は洞爺湖サミットの結果について考えます

1 サミットは成功したのか

 最初に結論を言うと今回の洞爺湖でのサミットは成功だったと考えます。
理由は以下の通りです

 (1)最大のテーマである地球温暖化対策で、2050年までに50%の削減を明確に宣言できた
 (2)日本が議長国として過去最大の会議を決裂することなくまとめることに成功した

 では、この成果はだれによるものかというと、各国政府、特に長期の交渉を担当した外交官たちの努力によるものだと思われます。
日本に限って考えても政府と外務省等であって、自民党つまり政治家の努力と決断のためでも、われわれ国民が政府に要求した結果でもありません。なので間違っても、次の衆議院議員選挙でサミットの結果を自民党の得点として考慮すべきではありません。注視すべきは政府が外国との間で交わした約束の実現を受けて、候補者がこれまで何をし、今後どんな政策を掲げるかを評価する必要があるということです。

2 なぜそう考えるか

 私はサミットが世界をリードする会議としての存在意義を持ちえたこと評価している。世界政府のような上位の枠組みがない現在において、地球規模の問題を討議する場がサミットであり、議長を日本が務める力があることを示せたからだ。

 7月7日放送されたNHKの番組を見る限り、今回の宣言についても当初から何の問題もなく採択されたものでなく、各国の国益がぶつかり合うなか、宣言が前回のドイツのサミットのときより後退する可能性があったことわかる。G8での50%の削減を明確に宣言したいヨーロッパ勢、中国とインドにも削減目標をさだめ世界経済のなかで自国の競争力が損なわれるのを避けたいアメリカ、この対立を調整し成果をまとめたい日本。
 現時点のCO2の排出量を見ればアメリカの主張も理にかなっている。それを自らが主導権をもつ主要経済国会議(MEM)の場で討議し、中国とインド等の同意を取り付けようとしたが、アメリカはフランスのようにCO2削減のため原発建設という魅力を示すこともできず、サミットの直前のMEMとサミットと同時開催したMEMでも同意が得られなかったし、さらに中国とインドは先進国に85%〜95%の削減をせよとの宣言までだされる結果となり完敗。やむなく、自らも参加するG8で前向きな姿勢を示すという決断をし面子を保ったというところだろう

 番組では最終的なアメリカの決断の場面の前で終わったので上記は私の勝手な予想に過ぎない。ブッシュ政権としても議論を決裂させるよりも妥協しても、自身の任期中に具体的な行動をする必要がなく、北朝鮮問題と同様、成果をあげることに重きをおいたのだろう。

 この問題は今後も続き、来年のイタリアでのサミットでも重要なテーマであり続ける。そのとき、EU勢とアメリカの中間に位置し、中国やインドと同じアジアに位置する日本の立場は代わらず意味を持ち続けるだろう。それはアメリカの大統領と首相が代わっても揺るがない。だからこそ今回のサミットで日本が議長としての役割を果たせたことは重要だった。

3 サミットへの批判

 ニュースメディアはこのサミットの成果について、温暖化では一定の評価はしたものの、経済・食料危機などについて具体策を打ち出せなかったことを批判している。
 また、過剰な警備、高額な費用、そしてゴシップねたで批判した。

 (1)費用
  ワシントン・ポスト紙は「約2億8300万ドル(=300億円)」、BBCは「約2億8000万ドル(=1億4000万ポンド)」と報じ過去最高額となった。もちろんこの費用は主催国の日本が負担つまり税金でまかなわれたのである。このうち半分が警備関連の費用であったという。また、食料危機の討議を贅沢な食事をしながら行ったと批判する報道もあった。
 G8に加え新興国やアフリカの代表を招いた今回のサミットは警備対象の要人の人数が増えたこともあり、高額になるのもしかたない。巷ではTV会議等のIT技術を使えばもっと安価ですんだとか、それだけの費用があれば400万人のエイズ患者が助かったとかいう議論があるが、実際に首脳同士が話し合い、期日を定め形で追い込むことで、最終的な決断がなされるのが会議の場である。そのゴールに向かって、各テーマについて、NHKが今回明らかにしたような事前交渉が無数に行われたことを考えると、単純に費用対効果で計ることは適切でなないだろう。
 食料問題討議するのに、貧しい食事を体験しないといけないというのは、首脳が現実の厳しさを知らないという事前提で考えているのあって、そんな感情のレベル決断してもらうようなことではない

 (2)警備

 今回のサミットではテロ対策のため全国から警察官が動員され洞爺湖の会議場近辺に2万1000人、東京に2万人と大勢集まる場所や大使館等への交通の規制が徹底して行われた。コインロッカーやゴミ箱が使えないなど一般市民も不便を強いられた
 どれだけが未然に防げたかを確認することはむずかしいが、結果テロ事件がなかったのは幸いだった。

 これだけの体制をとりうる能力があることは、過去の安保反対運動への対処や地下鉄サリン事件の教訓等の経験が日本に生きていることの証であり、日本が北京オリンピックの警備について中国側に多くのアドバイスをしているという

 週刊文春は「「サミット警備」のパトカーが小学生をはねた」とセンセーショナルに報道しているが、これが事実なら、遺憾な事件だが、サミット批判としてはまとはずれで、取り上げること必要のないものだ。

 また、NHKのニュースでは防衛省がサミット会場への航空機をつかったテロを想定した演習を行い、最終的に民間航空機を自衛隊が撃墜する命令を下したと報道した。NHKはなんのコメントもしなかったが、民間人の命の軽視との印象を与えようとした意図が感じられる。
要人と民間人のどちらが大切かでなく、人の命を奪おうというテロ行為こそ非難されるべきで、もしもの場合を検討していた防衛省は評価されていい

 (3)その他
 
  サミット関連でたくさん人が来て経済が潤うと期待したが、警備が厳しく期待はずれとか、ファーストレディの一人がみんな一緒の行動がいやだといったとか、「口には出せない「ファーストレディ」5人の「評判が良かった人」「悪かった人」」など、およそサミット目的となんら関係ない報道が多数なされ、あまりのレベルの低さにあきれた。要人がなにも日本観光にきたのではない。
 それに、ドイツのメルケル首相のように首相や大統領が女性であることが世界で珍しくないなか、女性は内助の功的な発想で考えること自体が時代錯誤だろう

4 真に考えるべきこと

 世界7カ国と1地域連合(EU)の代表による会議、それにより世界的問題を決める。金持ちの横暴と揶揄されるが、G8の首脳は決して独裁者ではない。彼らとはいえ勝手に物事を決められる立場にない。かりにその場で決断したとしてもそれを国民に説明し納得させなければただの口約束にすぎない。
 また、今回のサミットのテーマのどれも、政治決断だけで解決しな問題ばかりだった。地球温暖化は産業界や市民が行動しなければ具体的にCO2は減らないし、原油や食料の高騰などの経済も、各国の中央銀行で操作できる問題ではない。
 日本は国際会議の場で強く主張できないとよく言われる。しかし、それは会議の代表に送り出した人物に国民がどれだけの選択しを与えたにかかっている。
 日本が提案したセクター別アプローチも主要な産業分野での同意あってこそ国際社会に主張できる。ヨーロッパも政府主導で高い目標を掲げられるのも高い負担となっても対策に取り組もうという国民があってのことだ。
 つまり、問題解決の鍵は私たち自身の決断であり、サミットはその集約の場であるとの認識が一番大切なのだろう。

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