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変化するアメリカ・停滞する日本
2008-11-04-Tue  CATEGORY: 政治
 いよいよ、アメリカの新しい大統領が決定する。たぶんオバマ氏が新しい大統領となり共和党から民主党への政権交代が行われるだろう。かたや我々日本は民意を問う選挙すらできず、過去の戦争や年金記録、かつての経済成長を取り戻すという後ろ向きの政策に終始している。いったいなぜだろう

1 底力のある国アメリカ

 今回のアメリカ大統領選挙はいろいろな意味で盛り上がった。現状でも共和・民主両陣営接戦だという。まずは民主党の代表争いでクリントン氏とオバマ氏が接戦を演じたが、女性初・黒人初という点も注目された。そしてオバマ氏の活動を支えたのは草の根の支持で選挙資金はネットで小口の寄付を集めたもので、最終盤に行ったTV放送では3億円の費用を投じたとう。
大統領選挙は長期間にわたり行われ、各党での代表権と各州の選挙人を選出して決する。単純に有権者が直接大統領候補に投票するのではないが有権者が大統領にだれがふさわしいかを決める権利がある。選挙運動自体も政治団体や業界が動くのでなく、各個人がボランティアで運動する点が日本と対照的だ
 
 これに対して日本は与党の総裁がそのまま総理大臣になるのが慣例で、当然その有権者は自民党の党員・党友だけである。そして選挙期間もここ2回は緊急ということもあり2週間程度、街頭演説をしても話を聞く人が投票できるわけではない。

 アメリカはこの国発の経済危機の最中にあるが、それにかかわりなく大統領選挙を行っている。かたや日本は景気対策優先と首相が判断し国民が意思を示す機会が先延ばしされた。それが可能な国がアメリカだ、いったいこの底力でてくるのだろう

2 底力の源泉は何か

 アメリカも決して理想の国ではない、さまざまな問題を抱えていることは私たちでも知っている。しかし、アメリカの大統領選挙を見る限り、他国の私たちが聞いても感動しすばらしい国たと思わせるなにかがある。
 その秘密はアメリカという国の誕生歴史と、社会に存在する人種の多様性と格差、そして成功を生み出すプロセスにある。

(1)アメリカ誕生の歴史
 アメリカにはイギリスからの圧制からの独立と民主主義を平等を理念に誕生したという明確な歴史が存在する。もちろん独立は達成しても後者の理想はたやすく達成できるものでなく、いまだ道半ばというのが現実だろう。
オバマ氏の大統領候補指名受諾演説を聞いて感じたのは、アメリカには危機となった場合立ち戻るべき原点が存在するということ、それは建国の理念、つまり民主主義と平等、どんな生まれ人種、経歴であろうと門戸を開き、努力するものには成功するという夢、これをオバマ氏は「アメリカの約束」と表現した。
 今のアメリカはブッシュ政権のもと理念を対話でなく力で実現しようとしたがために出口の見えない苦境にたっている。だから国民のだれもが現状ではいけないと感じている。だからオバマ、マケイン両候補は変化を呼びかけ支持されている。ではどう変わるのかと問われたとき、さまざまな価値観や立場を超えてまとめる理念として、建国の理想が立ち現れ団結するそれがアメリカの強さなのだろう。
 これに対し日本は建国の神話をもっていない。歴史的には明治政府が徳川幕府を戦闘で倒し成立したし、昭和20年の敗戦で体制は変化し生まれ変わっているのだが、神代の昔につらなる歴史としたがために、国は自然に存在し天皇とともにあると心のどこかで思っている。だからもどるべき原点のような理念はなく「改革」を叫んでも制度変更以上にはなりえない。

(2)社会に存在する人種の多様性と格差
 オバマ氏のような人物の登場はいかにもアメリカらしいことである。NHKのBSでオバマ氏とマケイン氏の経歴についての番組が放送されたが、オバマ氏のような人物が生まれる背景には社会に存在する人種の多様性と格差が色濃く影響している。
格差が存在しその問題を解決したいという願いから、政治を志す人物が出て、多様な人種間で支持を得るための競争をするなかで、仲間を得て、人物的にも鍛えられていく。
 これに対して、今の日本の国会議員の多くが親のあとを継ぐべく秘書を務めたり、官僚として地盤を固めたうえで政党の支持を得て議員になる比率が多くなっている。当然日本でも競争はあるのだが、戦う相手と範囲がおのずと狭くなり、支持してくれた団体の意見にも左右されることになる。また日本はアメリカほど格差はなく人種の問題もないから問題意識のありようも変わってくる

(3)プロセス
 大統領選挙は2年間に及びその間多くのスタッフがかかわり、演説原稿を用意し、資金を集め政策を立案し支持者を集めことを繰り返す。それも選後は政権を支えるプロのスタッフとして寝食をともにし候補者自身を育てていく役目も果たしていく。
 日本も多くの優れた候補者のなかから選挙で選ぶという点は同じでも、党内の推薦人20名をあつめ多数決で決め、当選後は首相が決めたスタッフと派閥の支援のもと政権運営するでは結束の強さという点で寂しいものがある。議員個人としても秘書はいても政策スタッフといえるブレインを持つ議員は多くない。
 つまり、候補者自身の実力もさることながら、チームとしての力がアメリカ大統領職を支えている。首相といえど与党の協力がなかったり連立与党の反対があれば瓦解する内閣では大胆なことなどやはりできないだろう

3 「この人に掲げる未来になら協力できる」という人を選ぼう

 麻生氏はいま必死に政策の実績をつくろうとしている。しかし政治にもっとも必要なのは「この人に掲げる未来になら協力できる」と思わせる力である。若者に理解があるとか、庶民的であるとかは重要なことではない。日本のような大きな国になれば当然首相1人でなんでもできるわけではない、首相の示す未来に賛同し、具体的に働くスタッフとブレーンがいなければ立ち行かないだろう。まちがっても「XX省に調査を指示してる」というような言葉を発してはいけない。
 もちろん政治家ががんばるだけでなく、政治家が力が発揮できるように有権者が信任し権限を与えなくてはならない。アメリカ人の大統領選挙にかける熱意に比較し、私たちの政治への覚めた態度とが問題なのだろう「1970年で政治の季節は終わった」というのは誤りだ、せめて1993年当時の熱気が戻らないかぎり政治が正しく機能するようには思えない。

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