外務省が公開する外交文書のなかの核兵器をめぐる佐藤元首相の発言が注目を集めている。
私は政治家として適切な判断であり、結果50年を超える戦争のない状態を実現し日本の安全保障に多大な貢献をなした人だと判断している。この発言をめぐる動き考えたいと思う
1 非核3原則は堅持 を確認する政府
政府はこの問題に関して官房長官は非核3原則は堅持を明言し、「佐藤元首相は米国の核の抑止力が、日本への核攻撃の脅威を未然に抑止する力になっていることを強調したと理解すべきだ」[1]とし、実際の核兵器の使用を想定したものではなと強調した。
つまり、過去の外交文書があろうがなかろうが、政府の方針に変化はないという主張である。
政府見解としては合格である。しかし、外務省の文書公開とマスコミの報道により中国との有事に際してはどのような行動となるか公になったことは日本にとってマイナスだ、外務省の対処はあまりにお役所仕事でなないのか? それとも政府になんらかの考えがあり行ったのか後者なら日本を見直してもいいのだが、残念ながら前者だろう。
2 平和団体からの反対
核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会事務局長の広瀬方人さんは「非核三原則を唱えながら、核を持ち込ませることを黙認する発言だ。やはりノーベル平和賞には値しない首相だった」[2] また
佐世保市吉井町の平和祈念館「天望庵」の藤原辰雄館長は「戦前や戦中だけでなく、戦後も権力者は国民をだまし続けてきたということだ。戦争をなくすためには、国内から米軍や自衛隊など軍事力を一切取り除かなければいけない」[2]
ニュースとしては数多くはないが多くの反戦・反核・平和団体の関係者は同様の感慨をもったことだろう。彼らの宗教的とも思える理想からは現実の政治家は信じがたく、二枚舌を使う嘘つき以外のなにものでもないのかもしれない。
しかし想像してほしい、武術に長け武装した男たちに囲まれたなか、ひとりお金はあるが丸腰の子供がいたらどうなるか。最善の策が信頼おける兄に助けを求めることではないのか? 国際社会とは警察官がいない、自称警察官ばかりの社会というのが現実だ
3 核戦争を回避した佐藤首相の判断
今回公開された外交文書について佐藤発言以外の岸〜田中首相まので詳しい内容を[3]が紹介している。問題の発言のきっかけは1964年に中国の核実験に成功だった。
佐藤元首相個人としては日本は核兵器を持ってもよいと考えていたが、共産圏のソ連と中国がアメリカと核兵器を持ち敵対するなか、ドイツがNATOの一員として、イギリス・フランスの核の傘の下にあることと、広島・長崎の原爆被害にたいる国民感情を考慮し、独自の核は持たずアメリカの傘に入ることを決断、それは公の条約で明言できることでないので、記録にあるように密約として確約をとるしかなかったのだろう
アメリカの核の傘に入ることは、日本の反核運動が無意味だったということではない。62年のキューバ危機でケネディとフルシチョフの脳裏をよぎったのは核戦争による大量の死のイメージ、そこには1人として勝者がいなかった。もし、原爆の開発はしても日本に投下していなければより強力になった爆弾を実戦で使用し悲劇は世界規模になっていたかもしれない。
核兵器の破壊力の増大と反核運動の結果、核保有国をして実験の停止と拡散の防止の枠組みを決めるにことになり、中国も[4]で明言するように非核保有国に対し先制使用をないことを明言している。つまり広島と長崎の悲劇が原爆誕生から今日にいたるまで、かろうじてそれ以外の実戦での使用を抑止しているということでもある
平和団体は二枚舌を理由にノーベル平和賞を無効としたが、私は二枚舌のゆえにアジアのパワーバランスと現在までの平和を作った功績がノーベル平和賞なのだと考える
4 今後の日本の行方
では、今後の日本はこれまでと同じでよいのだろうか?非核三原則は今回の一件でその政治的な意味を失う。それが建前だけと知られてしまったからだ。
核兵器と軍事に関しては日本は北朝鮮や韓国と同じ立場であり、アメリカ・ロシア・中国は同じ核の力を持つ仲間であって、彼らの思惑如何によっては、どのようにでも扱いうる対象でしかない。もし日本が秘密裏に核開発でもしようものなら、3国が核兵器を背景に恫喝し国を分割することも辞さないだろう。日本は北朝鮮のように危機外交もできないという意味で「丸腰の金持ちの子供」でしかない。
究極のところ「アメリカは自身を危険にさらしても日本のために核を本気で使うか」の見極めにかかっている。しかしこのシナリオは米中が決定的に対立し、中国の核兵器がアメリカを攻撃しうる技術と量を持ちえていないという条件がつく。つまり先制攻撃で中国の力を封じ込めかつ中国を失ってもアメリカが困らないということでだ。
しかしこれは同考えても1960年代と今とでは状況が違いすぎる。核の先制攻撃というリスクをとっても広大な国土を破壊することは不能でまた巨大な市場である中国を灰燼にすることは産業界も望まないだろう。つまり佐藤密約は現在では無意味かつ非現実的だといえる
では日本はどうしたらよいのだろうか?考えるべきは(1)今後どんなリスクが生じうるか、(2)そのリスクにどう備えるかである。1960年代はイデオロギー対立であり、ソ連と中国の拡大が最大のリスクだった。現在は地球温暖化と世界人口の増加に伴い生じる食料とエネルギー・資源の争奪が国家間の最大のリスクになる。それは理念でなくお互いの生存をかけたより熾烈な争いになにちがいない。
ロシアも中国もアメリカも広大な土地と資源、食料の生産が可能な国でかつ強大な軍事力もあわせもつ国々だ。これに対し日本は耕地にできる土地は少なく資源も乏しい、文化はあるが高齢化が進み生産力と購買力が低下、エネルギーと食料の半数以上を輸入に依存、安全保障もアメリカと一体化し独自色をだせずにいる。日本にとって最大のリスクはアメリカが日本よりも中国のみと貿易するようになること、またその逆で中国もアメリカも敵対しどちらも自国内に閉じこもるり、日本が孤立し再び力に頼ることだ
日本は国際的な連携の環のなかでしか生きられない国である。中国とアメリカの間で翻弄されないように、アジアであればインドとそして古くからの友人ヨーロッパと手を結び、韓国や北朝鮮とも共同して存在感を高めるしかないだろう。それは第二次大戦後アメリカが意図的に作り出したソ連と中国、韓国と北朝鮮と日本との緊張から決別し真の意味での独立をなすことにもつながるに違いない。
参考情報
[1] 産経新聞 12月22日 河村官房長官「非核3原則は堅持」 佐藤内閣の外交文書公開で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000531-san-pol
[2] 西日本新聞 12月22日 佐藤元首相発言 「国民だまし続けた」 被爆者、平和団体が批判
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/67049
[3] 毎日新聞 2008年12月22日 特集:外交文書公開・1945〜1976 冷戦下、日本の進路決めた
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081222ddm010010032000c.html?inb=yt
[4] 中国の核兵器と核軍縮政策
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zgbk/gfzc/t62868.htm

私は政治家として適切な判断であり、結果50年を超える戦争のない状態を実現し日本の安全保障に多大な貢献をなした人だと判断している。この発言をめぐる動き考えたいと思う
1 非核3原則は堅持 を確認する政府
政府はこの問題に関して官房長官は非核3原則は堅持を明言し、「佐藤元首相は米国の核の抑止力が、日本への核攻撃の脅威を未然に抑止する力になっていることを強調したと理解すべきだ」[1]とし、実際の核兵器の使用を想定したものではなと強調した。
つまり、過去の外交文書があろうがなかろうが、政府の方針に変化はないという主張である。
政府見解としては合格である。しかし、外務省の文書公開とマスコミの報道により中国との有事に際してはどのような行動となるか公になったことは日本にとってマイナスだ、外務省の対処はあまりにお役所仕事でなないのか? それとも政府になんらかの考えがあり行ったのか後者なら日本を見直してもいいのだが、残念ながら前者だろう。
2 平和団体からの反対
核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員会事務局長の広瀬方人さんは「非核三原則を唱えながら、核を持ち込ませることを黙認する発言だ。やはりノーベル平和賞には値しない首相だった」[2] また
佐世保市吉井町の平和祈念館「天望庵」の藤原辰雄館長は「戦前や戦中だけでなく、戦後も権力者は国民をだまし続けてきたということだ。戦争をなくすためには、国内から米軍や自衛隊など軍事力を一切取り除かなければいけない」[2]
ニュースとしては数多くはないが多くの反戦・反核・平和団体の関係者は同様の感慨をもったことだろう。彼らの宗教的とも思える理想からは現実の政治家は信じがたく、二枚舌を使う嘘つき以外のなにものでもないのかもしれない。
しかし想像してほしい、武術に長け武装した男たちに囲まれたなか、ひとりお金はあるが丸腰の子供がいたらどうなるか。最善の策が信頼おける兄に助けを求めることではないのか? 国際社会とは警察官がいない、自称警察官ばかりの社会というのが現実だ
3 核戦争を回避した佐藤首相の判断
今回公開された外交文書について佐藤発言以外の岸〜田中首相まので詳しい内容を[3]が紹介している。問題の発言のきっかけは1964年に中国の核実験に成功だった。
佐藤元首相個人としては日本は核兵器を持ってもよいと考えていたが、共産圏のソ連と中国がアメリカと核兵器を持ち敵対するなか、ドイツがNATOの一員として、イギリス・フランスの核の傘の下にあることと、広島・長崎の原爆被害にたいる国民感情を考慮し、独自の核は持たずアメリカの傘に入ることを決断、それは公の条約で明言できることでないので、記録にあるように密約として確約をとるしかなかったのだろう
アメリカの核の傘に入ることは、日本の反核運動が無意味だったということではない。62年のキューバ危機でケネディとフルシチョフの脳裏をよぎったのは核戦争による大量の死のイメージ、そこには1人として勝者がいなかった。もし、原爆の開発はしても日本に投下していなければより強力になった爆弾を実戦で使用し悲劇は世界規模になっていたかもしれない。
核兵器の破壊力の増大と反核運動の結果、核保有国をして実験の停止と拡散の防止の枠組みを決めるにことになり、中国も[4]で明言するように非核保有国に対し先制使用をないことを明言している。つまり広島と長崎の悲劇が原爆誕生から今日にいたるまで、かろうじてそれ以外の実戦での使用を抑止しているということでもある
平和団体は二枚舌を理由にノーベル平和賞を無効としたが、私は二枚舌のゆえにアジアのパワーバランスと現在までの平和を作った功績がノーベル平和賞なのだと考える
4 今後の日本の行方
では、今後の日本はこれまでと同じでよいのだろうか?非核三原則は今回の一件でその政治的な意味を失う。それが建前だけと知られてしまったからだ。
核兵器と軍事に関しては日本は北朝鮮や韓国と同じ立場であり、アメリカ・ロシア・中国は同じ核の力を持つ仲間であって、彼らの思惑如何によっては、どのようにでも扱いうる対象でしかない。もし日本が秘密裏に核開発でもしようものなら、3国が核兵器を背景に恫喝し国を分割することも辞さないだろう。日本は北朝鮮のように危機外交もできないという意味で「丸腰の金持ちの子供」でしかない。
究極のところ「アメリカは自身を危険にさらしても日本のために核を本気で使うか」の見極めにかかっている。しかしこのシナリオは米中が決定的に対立し、中国の核兵器がアメリカを攻撃しうる技術と量を持ちえていないという条件がつく。つまり先制攻撃で中国の力を封じ込めかつ中国を失ってもアメリカが困らないということでだ。
しかしこれは同考えても1960年代と今とでは状況が違いすぎる。核の先制攻撃というリスクをとっても広大な国土を破壊することは不能でまた巨大な市場である中国を灰燼にすることは産業界も望まないだろう。つまり佐藤密約は現在では無意味かつ非現実的だといえる
では日本はどうしたらよいのだろうか?考えるべきは(1)今後どんなリスクが生じうるか、(2)そのリスクにどう備えるかである。1960年代はイデオロギー対立であり、ソ連と中国の拡大が最大のリスクだった。現在は地球温暖化と世界人口の増加に伴い生じる食料とエネルギー・資源の争奪が国家間の最大のリスクになる。それは理念でなくお互いの生存をかけたより熾烈な争いになにちがいない。
ロシアも中国もアメリカも広大な土地と資源、食料の生産が可能な国でかつ強大な軍事力もあわせもつ国々だ。これに対し日本は耕地にできる土地は少なく資源も乏しい、文化はあるが高齢化が進み生産力と購買力が低下、エネルギーと食料の半数以上を輸入に依存、安全保障もアメリカと一体化し独自色をだせずにいる。日本にとって最大のリスクはアメリカが日本よりも中国のみと貿易するようになること、またその逆で中国もアメリカも敵対しどちらも自国内に閉じこもるり、日本が孤立し再び力に頼ることだ
日本は国際的な連携の環のなかでしか生きられない国である。中国とアメリカの間で翻弄されないように、アジアであればインドとそして古くからの友人ヨーロッパと手を結び、韓国や北朝鮮とも共同して存在感を高めるしかないだろう。それは第二次大戦後アメリカが意図的に作り出したソ連と中国、韓国と北朝鮮と日本との緊張から決別し真の意味での独立をなすことにもつながるに違いない。
参考情報
[1] 産経新聞 12月22日 河村官房長官「非核3原則は堅持」 佐藤内閣の外交文書公開で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081222-00000531-san-pol
[2] 西日本新聞 12月22日 佐藤元首相発言 「国民だまし続けた」 被爆者、平和団体が批判
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/67049
[3] 毎日新聞 2008年12月22日 特集:外交文書公開・1945〜1976 冷戦下、日本の進路決めた
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081222ddm010010032000c.html?inb=yt
[4] 中国の核兵器と核軍縮政策
http://www.china-embassy.or.jp/jpn/zgbk/gfzc/t62868.htm
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