年末が迫りこの冬一番の寒さのなかニュースは連日不況と雇用問題を取り上げている。
そんななか、麻生総理は26日、海上自衛隊の艦船の派遣を早急に検討するよう浜田防衛相に指示した。
多くの人は某政党の言葉のごとく「生活が第一」で関心がなく、そんな予算があるなら失業対策と思ったことだろう。
一見地味なこの問題だが、ここに日本の国が世界を見る視点がよく現れているように感じる
1 麻生総理の指示とそのニュース報道
麻生総理は首相官邸で記者団にアフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策で海上自衛隊を派遣する意向を示し、これは自衛隊法に基づく海警行動で行うと説明。他国の船舶を救援できないことを指摘されると、海警行動は当面の措置で、来年の通常国会で海賊対策の新法制定を目指すと説明した[1] その具体化は「(1)自衛隊法に基づく海上警備行動の発令(2)外国商船の保護を含めた海賊対策新法(一般法)」[2]を検討するという
これまでの政府の説明やニュース報道で「ソマリア」のという言葉がでてこなかったので、あまりにも唐突な印象がつよい。そして
「日本周辺海域を念頭に置いた海警行動での派遣は自衛隊の海外派遣をなし崩し的に拡大する危うさをはらむ」「海警行動は、首相の承認で防衛相が発令するもので閣議決定は必要だが、国会承認は不必要。簡素な手続きで派遣が可能で、「安易に使われると世界中どこにでも行け、となりかねない」(防衛省幹部)」[3]と伝えた。
このことに対し民主党小沢氏は「基本的に自国の船舶を警備することに憲法上の疑義はない」[3]との意向を示し、この件について与野党で決定的な意見の相違はない
2 国内問題としか見ない報道の姿勢
先に本件は唐突と説明したが「海上保安庁が今月12日から19日まで、ソマリア周辺国のオマーン、イエメンに職員3人を派遣し、ソマリア沖の海賊被害の状況などを調べた。」[2]とあるように政府は調査を進めていて、報道も地味目に伝えたようだ。
報道を見て感じることは、(1)法的な問題が真っ先に論じられることと、(2)海外派遣を常に警戒する (3)与野党対立の観点でみる という点である。そのためか常に現実が先行し法律は後から必要最小分だけ、それも議論の末、現場に迷惑な形で個別に成立する
日本として国際貢献はどうあるべきか、実際に貢献となるにはどこまで行うのか、そのための法律と予算は という手順になっていない。「どうあるべきか」の議論がないからコンセンサスも得られず、法律があっても政府が悪いことをしているとしか受け取られないというのが、先に示した報道での疑問の原因になっている。
3 そもそもなぜ海賊対策なのか
ソマリアはアフリカ大陸の国で野生生物で有名なエチオピアの東となり、エジプトから東南に伸びる紅海のインド洋の出口に位置する国で、今回海賊対策の対象となる地域は、現在も続く自衛隊のテロ対策支援のための給油活動の海域と隣接している。つまり、もう一足伸ばし、他国に燃料を与えるだけでなく自ら海賊退治に参加しようといものだ。この付近を航行する年間約2000隻にのぼる日本の船舶を守るのだから日本の国益にもかなうというわけだ。
では、なぜ今この海で海賊なのか[5]によると、1992年からソマリアには中央政府が存在せず治安が不安定な状態がつづいている。そのため外国の船がこの海域で魚の乱獲の行われ、地元の魚民の脅威となった。そして2005年から海賊行為を行うものが現れ、2007年から組織的になったという。つまり海賊になる動機は経済的なもので、政治的・宗教的背景はない。世界で海賊の多い海域の上位5位にまでなり、2007年10月と2008年4月に日本の船舶も被害を受けている。
この状況を受けて国連は2008年6月憲章7条にもとづく海賊行為を阻止する権限を認める安全保障理事会決議第1816号を全会一致で採択した(日本は同決議の共同提案国)、12月、安保理は、海賊行為の防止に向け沿岸部での空爆を含む新たな決議、1856号も全会一致で採択した。
つまり、日本の自衛隊の派遣も国連の決議にもとずくもので積極的な国際貢献だと見えるが、現実には韓国や中国が相次いで部隊の派遣を決めているので、日本も遅れてはならないというのが本当の姿だ。
そして海賊の発生の原因となったソマリアの内戦だがその歴史は1969年までさかのぼることができる根深いものだ。1992年には国連のPKOも展開したが参加したアメリカは捕らえられた米兵が無残な扱いを受けPKO活動から撤退するとい事件も起きている。その後隣国エチオピアの干渉や、近年のイスラム原理主義の勢力も関与しソマリア全体をまとめる中央政府はなく地域をそれぞれの勢力支配する状態がいまだつづいている。
これまでは日本の船を他国に守ってもらっていたのだから前進ではある。しかし、日本の行動は自国の船を守ることと、他国に遅れをとりたくないというのが趣旨であり、ソマリアをはじめとする中東・アフリカの問題にどうかかわるかの視点を欠いたままの行動でしかない。夏の洞爺湖サミットでもアフリカへの支援を打ち出しはしたが重点は将来の資源確保を見越した経済が重点だった。
中東とアフリカの混乱の根本原因はヨーロッパが行った勝手な国の線引きと武器の供与で、欧州は中東とアフリカの平和にたいし重い責任がある。しかし日本がこれらの国々には直接関与していない。その日本がなぜアフリカ沖まで行くのか、「来てといわれたから」「先進国だから行くのです」では日本国民たる自衛官の命をかけることに国民の同意が得られるものではない。
派遣を検討する自民党も、それを容認する民主党もなぜ行うのか、細かな法律論のまえにビジョンを国民に示すべきだろう
参考情報
[1] 毎日新聞 2008年12月25日 麻生首相:海自ソマリア沖派遣の意向表明
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081226k0000m010088000c.html
[2] 海自艦派遣検討へ年明けにも与党チーム 海賊対策で
http://www.asahi.com/politics/update/1226/TKY200812260356.html
[3] 毎日新聞 12月26日 <ソマリア派遣>首相が準備を指示 自衛隊活動拡大に疑念も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081226-00000181-mai-pol
[4] 毎日新聞 12月26日 ソマリア派遣:憲法上の疑義ない…小沢氏が一定の理解
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081227k0000m010009000c.html?inb=yt
[5] Wikipedia ソマリア沖の海賊
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%B2%96%E3%81%AE%E6%B5%B7%E8%B3%8A
[6] 人民網日本語版 12月23日 中国がソマリアに軍艦派遣、日本政府に「焦燥感」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/6560259.html
[7] 中央日報 11月20日 ソマリア沖での海賊対策、韓国が駆逐艦「姜邯賛号」派遣へ
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=107534&servcode=200§code=200
[8] Wikipedia ソマリア内戦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%86%85%E6%88%A6

そんななか、麻生総理は26日、海上自衛隊の艦船の派遣を早急に検討するよう浜田防衛相に指示した。
多くの人は某政党の言葉のごとく「生活が第一」で関心がなく、そんな予算があるなら失業対策と思ったことだろう。
一見地味なこの問題だが、ここに日本の国が世界を見る視点がよく現れているように感じる
1 麻生総理の指示とそのニュース報道
麻生総理は首相官邸で記者団にアフリカ・ソマリア周辺海域の海賊対策で海上自衛隊を派遣する意向を示し、これは自衛隊法に基づく海警行動で行うと説明。他国の船舶を救援できないことを指摘されると、海警行動は当面の措置で、来年の通常国会で海賊対策の新法制定を目指すと説明した[1] その具体化は「(1)自衛隊法に基づく海上警備行動の発令(2)外国商船の保護を含めた海賊対策新法(一般法)」[2]を検討するという
これまでの政府の説明やニュース報道で「ソマリア」のという言葉がでてこなかったので、あまりにも唐突な印象がつよい。そして
「日本周辺海域を念頭に置いた海警行動での派遣は自衛隊の海外派遣をなし崩し的に拡大する危うさをはらむ」「海警行動は、首相の承認で防衛相が発令するもので閣議決定は必要だが、国会承認は不必要。簡素な手続きで派遣が可能で、「安易に使われると世界中どこにでも行け、となりかねない」(防衛省幹部)」[3]と伝えた。
このことに対し民主党小沢氏は「基本的に自国の船舶を警備することに憲法上の疑義はない」[3]との意向を示し、この件について与野党で決定的な意見の相違はない
2 国内問題としか見ない報道の姿勢
先に本件は唐突と説明したが「海上保安庁が今月12日から19日まで、ソマリア周辺国のオマーン、イエメンに職員3人を派遣し、ソマリア沖の海賊被害の状況などを調べた。」[2]とあるように政府は調査を進めていて、報道も地味目に伝えたようだ。
報道を見て感じることは、(1)法的な問題が真っ先に論じられることと、(2)海外派遣を常に警戒する (3)与野党対立の観点でみる という点である。そのためか常に現実が先行し法律は後から必要最小分だけ、それも議論の末、現場に迷惑な形で個別に成立する
日本として国際貢献はどうあるべきか、実際に貢献となるにはどこまで行うのか、そのための法律と予算は という手順になっていない。「どうあるべきか」の議論がないからコンセンサスも得られず、法律があっても政府が悪いことをしているとしか受け取られないというのが、先に示した報道での疑問の原因になっている。
3 そもそもなぜ海賊対策なのか
ソマリアはアフリカ大陸の国で野生生物で有名なエチオピアの東となり、エジプトから東南に伸びる紅海のインド洋の出口に位置する国で、今回海賊対策の対象となる地域は、現在も続く自衛隊のテロ対策支援のための給油活動の海域と隣接している。つまり、もう一足伸ばし、他国に燃料を与えるだけでなく自ら海賊退治に参加しようといものだ。この付近を航行する年間約2000隻にのぼる日本の船舶を守るのだから日本の国益にもかなうというわけだ。
では、なぜ今この海で海賊なのか[5]によると、1992年からソマリアには中央政府が存在せず治安が不安定な状態がつづいている。そのため外国の船がこの海域で魚の乱獲の行われ、地元の魚民の脅威となった。そして2005年から海賊行為を行うものが現れ、2007年から組織的になったという。つまり海賊になる動機は経済的なもので、政治的・宗教的背景はない。世界で海賊の多い海域の上位5位にまでなり、2007年10月と2008年4月に日本の船舶も被害を受けている。
この状況を受けて国連は2008年6月憲章7条にもとづく海賊行為を阻止する権限を認める安全保障理事会決議第1816号を全会一致で採択した(日本は同決議の共同提案国)、12月、安保理は、海賊行為の防止に向け沿岸部での空爆を含む新たな決議、1856号も全会一致で採択した。
つまり、日本の自衛隊の派遣も国連の決議にもとずくもので積極的な国際貢献だと見えるが、現実には韓国や中国が相次いで部隊の派遣を決めているので、日本も遅れてはならないというのが本当の姿だ。
そして海賊の発生の原因となったソマリアの内戦だがその歴史は1969年までさかのぼることができる根深いものだ。1992年には国連のPKOも展開したが参加したアメリカは捕らえられた米兵が無残な扱いを受けPKO活動から撤退するとい事件も起きている。その後隣国エチオピアの干渉や、近年のイスラム原理主義の勢力も関与しソマリア全体をまとめる中央政府はなく地域をそれぞれの勢力支配する状態がいまだつづいている。
これまでは日本の船を他国に守ってもらっていたのだから前進ではある。しかし、日本の行動は自国の船を守ることと、他国に遅れをとりたくないというのが趣旨であり、ソマリアをはじめとする中東・アフリカの問題にどうかかわるかの視点を欠いたままの行動でしかない。夏の洞爺湖サミットでもアフリカへの支援を打ち出しはしたが重点は将来の資源確保を見越した経済が重点だった。
中東とアフリカの混乱の根本原因はヨーロッパが行った勝手な国の線引きと武器の供与で、欧州は中東とアフリカの平和にたいし重い責任がある。しかし日本がこれらの国々には直接関与していない。その日本がなぜアフリカ沖まで行くのか、「来てといわれたから」「先進国だから行くのです」では日本国民たる自衛官の命をかけることに国民の同意が得られるものではない。
派遣を検討する自民党も、それを容認する民主党もなぜ行うのか、細かな法律論のまえにビジョンを国民に示すべきだろう
参考情報
[1] 毎日新聞 2008年12月25日 麻生首相:海自ソマリア沖派遣の意向表明
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081226k0000m010088000c.html
[2] 海自艦派遣検討へ年明けにも与党チーム 海賊対策で
http://www.asahi.com/politics/update/1226/TKY200812260356.html
[3] 毎日新聞 12月26日 <ソマリア派遣>首相が準備を指示 自衛隊活動拡大に疑念も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081226-00000181-mai-pol
[4] 毎日新聞 12月26日 ソマリア派遣:憲法上の疑義ない…小沢氏が一定の理解
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081227k0000m010009000c.html?inb=yt
[5] Wikipedia ソマリア沖の海賊
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E6%B2%96%E3%81%AE%E6%B5%B7%E8%B3%8A
[6] 人民網日本語版 12月23日 中国がソマリアに軍艦派遣、日本政府に「焦燥感」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/6560259.html
[7] 中央日報 11月20日 ソマリア沖での海賊対策、韓国が駆逐艦「姜邯賛号」派遣へ
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=107534&servcode=200§code=200
[8] Wikipedia ソマリア内戦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%82%A2%E5%86%85%E6%88%A6
こんにちは。海賊対策で、自衛隊の護衛艦を派遣できるよう麻生首相が手続きを開始します。当然といえば、当然の措置だと思います。このままだと、日本の艦船は、海賊の格好の標的になってしまいます。そうなると、原油でも、食料でもいつもあてにならなくなる危険に晒されます。また、去年のように、原油や食料品の高騰にいつ悩まされるどころか、一時的に枯渇ことになるかもしれないのです。そんなことは、到底許容できません。、海賊は全世界の国々にとって危険で迷惑な存在です。これに対して、断固たる措置をとることは日本国憲法の問題とは直接関係はありません。なぜなら、海賊は国家でも国家を代表・代行する機関でもないからです。ソマリア情勢が解決しなけば、海賊問題の根本的解決はないという意見もありますが、それとこれとは別問題です。仮に、生活困窮が犯罪の原因だとしても現実に発生している犯罪を看過するわけにはいきません。日本も、海賊に対して断固たる措置がとれるように万全の体制を築いていただきたいと思います。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
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