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汝の敵と対話せよ
2009-01-05-Mon  CATEGORY: 安全保障
 2009年明けましておめでとうございます。ことしも引き続き日本の将来・政治・戦争・憲法の問題について考えていきます。よろしくお願いします。
 日本の年末年始は平和に終わりました。といっても職と住むところを失った失業者が大勢いたので、おめでたい新年とはなっていません。しかし、視線を世界に移すと中東、パレスチナ自治区ガザでは年末年始も戦闘がやみませんでした。今回は対立解決の糸口としての対話について考えます

1 <イスラエル>ガザ空爆

 「イスラエル軍は27日、パレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム原理主義組織ハマスの関連施設に対し、同地区全域にわたって大規模な空爆を実施した。ガザの保健当局によると、少なくとも200人が死亡、200人以上が負傷」「6月、エジプトの仲介で停戦し、ガザ情勢はしばらく沈静化した。しかし、11月上旬から衝突が再燃。停戦は今月19日で失効し、緊張が高まっていた。」[1] 今回の空爆は長く続く対立の再燃ということである。そして
「イスラエル軍は3日夜(日本時間4日未明)、パレスチナ自治区ガザへの地上侵攻を開始した」「ハマスのロケット攻撃陣地の制圧が主な目的。軍当局によると、作戦は長期間に及ぶ予定だという」[2]
パレスチナ側もロケット砲による応戦をしていたが、中東最強の力を持つイスラエルが攻撃をさらにエスカレートさせた。この地域はお互いに傷が癒えてくると新たな傷を作るという歴史を繰り返している。この問題についてイスラエルに肩入れするアメリカは「ブッシュ米大統領は3日、週末の国民向けラジオ演説でガザ情勢の悪化を招いた責任はハマスにあると非難した。」[3] と相変わらずのパレスチナ批判である。

 では日本はというと「パレスチナ自治政府のアッバス議長と電話で会談し、イスラエルとの早期停戦実現を求めた。」「イスラエルのオルメルト首相とも電話会談し、速やかな空爆停止を求め」「パレスチナ自治区ガザに食糧など約1000万ドル(約9億2000万円)規模の緊急人道支援を行う考えを表明」[4]
 つまり、電話で双方に話しをしお見舞金をだしますということだ。日本がなすべきはアメリカに対してイスラエルへの肩入れを止めるように言うことではなかったか

2 過激派と交渉する男 〜イスラム社会との対話〜

 08年11月28日 NHK BSドキュメンタリー シリーズ和解への模索 で「過激派と交渉する男 〜イスラム社会との対話〜」というオランダ製作の番組が放送された。
 番組は欧米とイスラム世界の対話を進めようとする3人とコンフリクト・フォーラムという団体の活動を紹介するものだった。冒頭、ロバート・フィスク(レバノン問題専門家)が「欧米は中東に戦車で乗り込み「民主主義を与えよう」という、しかし「もとめている自由は与えない」と指摘、そして問題の根本について「第一世界大戦後の17ヶ月間にある」といい欧米が中東を「意図的に宗教が対立するようにして外部=欧米の助けを必要とするようにした」という、そして「欧米が中東から手を引くとこ、テロリストと呼ぶ彼らと対話すべき」と主張する。
 この考えを実戦しているのがマイケル・アンクラム(英国保守党政治家 93-97年北アイルランド担当大臣)、アラスター・クルーク(コンフリクト・フォーラム設立者)、マーク・ペリー (クルック氏の片腕 アメリカ支部代表)の3人だ
 アラスター・クルークは元イギリスの諜報機関MI6の幹部で人質事件の交渉などを経験、そこから対話することで現実的な解決策を見出す重要性を認識し、それを中東問題に活用すべく立ち上げたのがコンフリクト・フォーラムというNGOである。
 マイケル・アンクラムもIRAとの対話の経験から「テロを武力で打ち負かすのは不可能だが、対話により封じこめること可能だと」いう。そしてその努力は今のアイルランドの和平として結実する。
 クルークとペリーはセミナーを開き実際にヒズボラの幹部と対話も重ねている。しかし、コンフリクト・フォーラムは平和団体ではないという。ではなにをするかというと、対立するものの間に立ち、権力により政治的に正しく使われない言葉を正しく翻訳し伝えるという役割を行おうというのです。

 対話から見えてきたのは、欧米・イスラム圏双方に一部の過激派がいてそれが政治を動かし問題を大きくしている、問題は一般の欧米人やイスラム教徒ではない。そして欧米がテロ組織とみなすハマスやヒズボラも支持者である一般のイスラム教徒の意見取り込む民主的な組織であり、支持者を持たないアルカイダと異なるにもかかわらず、対話がないため誤解が解消しない。

 番組ではハマス指導者 オサマ・ハムダン氏との対話と彼の言葉が紹介された「相手と話合うか、それとも戦うか、戦うと決めたら最終的に話合わなくてはならない。ならば最初から話合うほうべきではないか。話合わずに戦うというのは、はじめから相手を理解するつもりがない」ということだといいい、欧米・イスラム圏の双方が相手への理解を主張した。

 必要なのは「自分が話しをしたくない相手と話しをする」といい「最後までやり通すこと、途中で爆弾が爆発することを想定に入れること、そして 相手の話に敬意を示すこと」だとういう。

3 汝の敵と対話せよ

 中東問題は日本から遠く関心も低く、日本は当事者でもない。しかも問題の根は深く簡単でないことは間違いない。日本の報道はとにかく死傷者が何人であり、戦闘はよくありませんという論調だ。その地域の歴史や今行われている和平プロセスが報道されることなどめったにない。 日本が当事者である北朝鮮との交渉も、北が譲歩しないのは圧力が足りないからだとの結論で、対話をとはなっていない。つまり、先の番組での問題はそのまま日本の問題でもあるように感じる
 北朝鮮問題、中国の問題、日本の国会の与野党の対立など、とにかく相手と悪とし自身を正義とみる論調が強くなっているように感じられる。しかし、先の番組が示すとおり解決の道は対話しかない。イエスの言葉に「汝の敵を愛せよ」とあるがさすがに愛することは無理でも話すことは難しくないはずだ。
 番組の最後にアラスター・クルークが心に刻む言葉を紹介する「相手の言っていることもやっていことも理不尽で意味がないと貴方が結論づけてしまったら、方向を見失うのは相手のほうでなく貴方のほうである」

参考情報

[1] 2008年12月27日 毎日新聞<イスラエル>ガザ空爆、200人死亡…ハマス反撃宣言
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081227-00000082-mai-int
[2] 2009年1月4日 毎日新聞 <ガザ>イスラエル軍 地上侵攻を開始
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090104-00000010-mai-int
[3] 2009年1月3日 産経新聞 【ガザ空爆】米大統領がハマス非難 「一方的停戦、受け入れ難い」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090103-00000545-san-int
[4] 2009年1月3日 読売新聞 首相、自治政府のアッバス議長と電話会談…早期停戦求める
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090103-00000036-yom-pol


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